ナカイローズファームは、食用バラの栽培、加工、流通販売まで行う6次産業の会社です。国内で唯一、食用バラの育て方を学べる学校です。

食用バラの病害虫対策と効果 ナカイローズファーム

「薔薇は病気や害虫が多いから、そだてるのがむつかしい」

このようなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?

人間が薔薇の香りを好むように、虫も同じ。薔薇の香りや色に惹かれて、いろいろな種類の虫が寄ってきます。

また、バラに発生しやすい病気もあります。

食用バラは、農薬をつかわないため、虫からすれば安心安全が確保された魅力的なレストラン。

このコラムでは、食用バラが被害を受けやすい病害虫についてや、その対策や効果をご紹介します。

食用バラが被害を受ける病害虫の主な種類


病気

♠黒点病(別名 黒星病)こくてんびょう(くろほしびょう)

空気中に漂っている「菌」が食用バラの葉で活発に活動することにより、発生する病気です。放置すると落葉し、成長が阻害されます。露地栽培で起こりやすい病気です。露地栽培とは→

♠うどん粉病

黒星病と同じく、空気中の菌が食用バラの若い葉やつぼみの下の茎の部分で活発に活動することにより発生する病気です。ハウス栽培やベランダ栽培など、風通しがよくない環境で発生しやすい病気です。また、春と秋によく発生します。成長が阻害され、つぼみは咲かなくなります。

♠がんしゅ病(根頭癌腫病)こんとうがんしゅびょう

食用バラの根の一カ所または複数個所に、大小のコブができる病気です。

原因は、土の中にいるアグロバクテリウム ツメファシェンスという細菌が、バラの傷口から入り込んでDNAを送り込みコブができます。バラの成長が阻害されます。

♠サビ病

食用バラの葉の上や茎に、直径1~2ミリ程度のオレンジ色の丸い粒ができます。バラの成長が阻害されます。

害虫

 

♠アブラムシ

アブラムシは、バラの体のなかを流れている糖分をふくんだ液を吸います。バラにとっては、成長するための液をアブラムシに吸われるので、成長に影響がでます。アブラムシのうち、羽があり飛べるのはごくわずかで、多くのアブラムシは動かずに一カ所で吸い続けます。

♠チュウレンジハバチ

幼虫がバラの葉を食害します。成虫は、バラのやわらかい茎に産卵します。1回の産卵で数百匹の幼虫がかえり、食用バラの葉を食べながら成長します。

♠カミキリムシ

カミキリムシの成虫は、産卵するために食用バラに飛来して、食用バラの根元に卵を産みます。卵から孵化した幼虫(テッポウムシ)は、バラの枝を内側から食べ、木屑のような糞をバラの根元に出します。

カメムシ

食用バラの体の液を吸います。4~10月まで活動します。触ると強い悪臭を放つ虫です。

♠コガネムシ

コガネムシの成虫は食用バラのつぼみや花びらを食べます。コガネムシの幼虫は土のなかで、薔薇の根を食べて成長します。

♠ゾウムシ(別名クロケシツブチョッキリ)

バラゾウムシは食用バラのつぼみや、若い葉に産卵します。つぼみに針の先で刺したような黒い点があったり、若い葉がチリチリに乾いていたらゾウムシの産卵痕です。

♠アザミウマ(別名 スリップス)

体長1ミリ以下の非常に小さな虫で、食用バラの花びらと花びらの隙間に入り込みます。体が小さいわりに、ジャンプ力がある虫で、大発生してしまうと薔薇の花びらのすきまで激しく動き回ります。花びらにはシミができるため、商品価値も下がります。

♠カイガラムシ

アブラムシの仲間です。幼虫は1ミリ前後と小さいため、気が付かずに自宅に持ち込んでしまったり、風によって飛来する場合もあります。細長い口を、食用バラの茎に刺して、薔薇の液を吸って生きます。

♠バラクキバチ

4~5月、バラのやわらかい枝に産卵する。産卵の際、茎の導管(根から吸い上げた水が通る管)を傷つけるため、産卵箇所から先端は水を吸い上げられなくなり、枯れてしまう。

 

 

食用バラの病害虫対策

病気

♠黒点病(別名 黒星病)こくてんびょう(くろほしびょう)

食用バラの体力が弱っているときに一定時間、葉が多湿の状態だと、一気に発生します。一度黒点病が発生した葉は、進行を遅らせることはできても、元には戻らないため、常日頃から、薔薇の健康を保つことが重要です。薔薇の健康を保つには、肥料過多や肥料不足を避けるとともに、適切に水をやり、薔薇が欲している栄養素を適切なタイミングで与えることが必要です。

薔薇が欲している栄養は、土壌やバラの葉を調べることで、予測することができます。

♠うどん粉病

黒星病と同様、食用バラの体力が弱っていて、かつ、風通しが悪いときに発生しやすくなります。一度うどん粉病が発生すると蔓延しやすくなるため、常日頃から薔薇の健康を保つ必要があります。薔薇の健康を保つには、人間と同様、バランスのよい食事(肥料、水やり、土壌環境)が基本です。特に、化成肥料を過剰に与えると病気にかかりやすくなります。人間同様、腹八分目がよいでしょう。

 

害虫

薔薇の葉の食害は、薔薇の葉から放散される窒素の匂いに惹かれて虫が飛んでくることが原因となる場合が多いです。

土壌中に窒素成分が多いと、薔薇は吸い上げた窒素のうち、使い切れない余剰分を、葉の先から染み出させます。

このしみだした液が虫にとって目印となり、飛んできては、葉を食害するのです。

つまり、土壌バランスを、バラに必要な量だけ含むように整えておけば、虫の飛来は抑えられます。

土壌バランスを整えるために、定期的な土壌診断を受けることをおすすめします。

ご興味のある方はお問合せください。→→お問合せフォーム

♠アブラムシ

 ・牛乳を葉にスプレーする

 ・片栗粉微量を水で溶き、アブラムシにスプレーする

 ・アルミホイルをバラの株元に置く(敷く)

 ・アブラムシの飛来を抑える専用資材を使う(ナカイローズファームで使用しています)

 ・アブラムシの天敵テントウムシ、カマキリなどに食べてもらう

♠チュウレンジハバチ

 ・成虫が産卵中に捕殺するのが最も効率がよい

 ・幼虫を見つけ次第捕殺する

♠ゴマダラカミキリ

 ・見つけ次第捕殺する

カメムシ

 ・雑草がカメムシの温床になるので、常に除草する

 ・朝夕はカメムシの動きが遅いため、朝夕に捕殺する

♠コガネムシ

 ・成虫はフェロモントラップを設置して数を減らす

  フェロモントラップ商品ページはこちら

 

 ・成長がわるくなった薔薇の鉢植えがあったら、念のため土をしらべてコガネムシの幼虫が発生していないか調べる

バラゾウムシ

 ・発生させないよう、粘着性のシートを薔薇のそばに設置する

 ・子孫を増やさないため、産卵痕をみつけたら焼き捨てる(その場に放置しない)

♠アザミウマ(別名 スリップス)

 ・色で撃退する方法(好きな色と嫌いな色、両方設置すると効果倍増)

アザミウマが嫌い

キラキラで寄せ付けない方法

アザミウマが好きな色でおびきよせる方法

商品ページはこちら➡防虫テープ

商品ページはこちら➡粘着シート

設置風景

 

 ・天敵に頑張ってもらう方法/アザミウマの天敵はカメムシです。カメムシが好む植物を、薔薇のそばに植えて、カメムシを呼び寄せるのもよいでしょう。

カイガラムシ

 ・窒素肥料を過剰に与えない

バラクキバチ

 ・飛来害虫のため、防除方法はない。株数が少なければ、やわらかい新しい枝を、アルミ箔で撒いておけば、産卵されることはなくなり、被害を防げる。

被害箇所を発見次第、剪定して廃棄すれば、繁殖を防ぐことができ、被害拡大を抑えられる。